『久能山の歌』静岡県郷土唱歌 昭和11年
石の階段(きざはし) 幾曲り、
阻路(そばぢ)もかすむ 久能山。
駿河の海を 見下して、
英雄ここに 眠るかや。
工(たくみ)凝らせる 鑿(のみ)の跡、
眩ゆき宮居(みやゐ) 日に映えて、
葵(あふい)の紋の かがやける
甍(いらか)ぞ見ゆる 木(こ)がくれに。
今も殘(のこ)れす 一本(ひともと)の
物見の松に 吹く風は、
東照公(とうせうこう)の 在りし日の、
勲(いさを)を高く 歌ふかな。
『徳川家康の歌』静岡県郷土唱歌 昭和11年
雄圖(ゆうと)を秘めて 東海に、
心を砕く 幾春秋。
時こそ来つれ いざ起てと、
勝敗決す 關ヶ原(せきがはら)。
昌平(しょうへい)永(なが)し 三百年、
文化の花の 咲き匂ふ、
基(もとゐ)築きし 英雄の
誉(ほまれ)ぞ世々に 謳(うた)はるる。
石垣高き 駿府城、
兵士(つはもの)、今や 屯(たむろ)して、
銃(つつ)執(と)るわざを 修めつつ、
しのぶや公(きみ)が その功績(いさを)。